ε-130D
コンセプト

イプシロン光学系とは
イプシロン光学系は主鏡に双曲面(ハイパーボライド)を使い、接眼部に補正レンズを配置したレイアウトとなっています。一般に双曲面鏡の研磨は大変難しいとされてきましたが、双曲面鏡を量産することに成功した当社の研磨技術と既に定評のある光学設計技術とが、この画期的な新光学系を生み出しました。

デジタル時代のイプシロン
新機種のε-130Dは、カタログスペックだけを見ると先代のε-130とほとんど変わりませんが、光学性能はまるっきりの別物です。デジタル時代に求められる収差補正を追求した新型は、フルサイズの周辺まで星像が10ミクロン以内と、上位機種のε-180EDに匹敵する鋭像を結びます。

2枚構成の補正レンズはEDレンズこそ使っていませんが、主鏡の非球面量の再考とレンズ位置の調整により、最小星像は旧型ε-130との比較で1/3以下になっています。また旧型の4枚構成補正レンズの欠点であった歪曲収差(ディストーション)も半分以下に補正しているので、モザイク合成の作業が楽になります。

最高水準の光学性能を持つε-130Dの430mm(f/3.3)という明るく広写野のスペックは、大型の星雲などを捉えるのに適した望遠鏡です。軽量コンパクトな本体と相まって、イプシロン光学系の鋭像をより気軽に楽しめるアストロカメラです。

f/3.3の短焦点鏡では、斜鏡の中心が光軸上にあるように取り付けると焦点面での光量が偏ってしまうので、広視野のアストロカメラではその影響を無視することができません。
そこで斜鏡を偏心させて取り付けることにより、斜鏡を必要以上に大きくすることなく、光量の偏りの問題を解決しました。
また、斜鏡を保持するスパイダーは羽根式にして強化しています。

接眼体台座を大型化して、接眼体回りで発生する鏡筒とのたわみの軽減を図っています。
ファインダー台座は接眼体の側に一つ付いています。ここに6倍30mmか7倍50mmのファインダー脚が取り付けられます。
自動導入赤道儀が普及してファインダーは必須アイテムという時代ではなくなりましたので、ファインダーはお客様の使用環境に合わせてお選びください。

主鏡の光軸調整ネジは、TOAシリーズなどで実績がある引きネジの両側に押しネジを配した形式にしました。また、ネジの頭部がセルの下面から外側に出ない構造にしたので、鏡筒を立てて置いてもネジの頭が当たらず安定しています。

スペック
形式
ハイパーボライドアストロカメラ
有効径 130mm
合成焦点距離 430mm
合成口径比 1:3.3
斜鏡短径 63mm
補正レンズ 2群2枚
イメージサークル φ44mm (画角: 5.9°)
メタルバック 56.2mm
鏡筒径 166mm
全長 460mm
質量 4.9kg
ファインダー オプション
対応鏡筒バンド 166WS

■εエクステンダー130D
イプシロン光学系は補正レンズの焦点側が平坦な像面になるので、カメラレンズ用のエクステンダーを取り付けると収束光線を拡大するので、焦点距離を2倍に引き延ばすと収差が4倍に悪化してしまい、トリミングしたのと変わらない星像になってしまいます。

イプシロンの各機種に合わせて専用設計した5群7枚構成のεエクステンダーはコマ収差の補正を行なっています。ε-130Dに使用すると焦点距離を1.5倍に拡大て650mm(f/5.0)に引き延ばしますが、星像は直焦点と同等以上のものが得られる超高性能なエクステンダーです。

また、収束光線系である主焦点に対して発散光線系であるエクステンダーのため、周辺光量の落ち込みも少なくなり、フルサイズ周辺の光量を60%以上確保しています。

眼視性能もとても良好で、非常にコンパクトな外形にもかかわらずエクステンダーを使用することで、コマ収差の無い理想的な反射望遠鏡となります。それに焦点距離が伸びることでf値が大きくなり、主焦点時よりアイピースの負担も軽減されます。

εエクステンダー130D 併用時の仕様
焦点距離 650mm
口径比 1: 5.0
イメージサークル φ44mm
>>システムチャート