2021年 4月 1日
イプシロンは、マイナスのパワーを持つ凹面の主鏡とプラスのパワーを持つレデューサー系の補正レンズを組み合わせて像面湾曲補正の条件となるペッツパール和をゼロにする設計で、主鏡の非球面係数を双曲面化することで、球面収差とコマ収差もゼロにするというタカハシオリジナルの光学系です。
補正レンズの後ろは平坦な像面になので、カメラレンズ用のエクステンダーを取り付けると収束光線を拡大するため、焦点距離を2倍に引き延ばすと収差が4倍に悪化してしまい、トリミングしたのと変わらない星像になってしまいます。
新発売のεエクステンダーは5群7枚構成で、機種に合わせた専用設計によりコマ収差の補正を行ない、焦点距離を1.5倍に拡大しますが、使用上は直焦点の星像と同等以上の星像が得られる超高性能なエクステンダーです。
具体的にはε-130Dが430mm f/3.3を650mm f/5.0に、ε-180EDは500mm f/2.8を770mmF/4.3に延長します。
光学性能では、RMS-SPOT直径でε-130Dが中心2ミクロン、フルサイズ周辺8ミクロン、ε-180EDが中心2ミクロン、フルサイズ周辺5ミクロンという高性能な設計です。
また、収束光線系である主焦点に対してエクステンダーなので発散光線系になるため、周辺光量の落ち込みも少なくなり、全ての機種でフルサイズ周辺の光量を60%以上確保しています。
眼視性能も、タカハシの非球面研磨技術とが相まって高倍率性能もとても良好です。f/5のニュートンとしては非常にコンパクトで、エクステンダーを使用することでf値が大きくなり主焦点時よりアイピースの負担も軽減されるので、形状は短焦点ニュートン式でもコマ収差の無い理想的な反射望遠鏡となります。
εエクステンダー 仕様
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εエクステンダー130D |
εエクステンダー180ED |
対象鏡筒 |
ε-130D |
ε-180ED |
焦点距離 |
650mm |
770mm |
口径比 |
1:5.0 |
1:4.3 |
イメージサークル |
φ44mm |
φ44mm |
光学系 |
5群7枚 |
5群7枚 |
最大径×全長 |
72.1mm × 98.5mm |
78.5mm × 105.5mm |
鏡筒側 |
M60 P=0.75 |
M68 P=0.75 |
カメラ側 |
M54 P=0.75 |
M54 P=0.75 |
質量 |
450g |
550g |
フィルター |
φ48mm 装着可 |
φ48mm 装着可 |
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取り付けは、ドロチューブ後端の補正レンズを外して交換します。
使いやすさを考慮して、εエクステンダーに組み替えてもピント位置は補正レンズとほぼ同じになるよう同焦点に設計しています。
なお ε-130、ε-160 などの第一世代イプシロンには、主鏡の非球面係数が異なるため使用できません。
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