上位機種のEM-200と同様に、赤経・赤緯両軸のウオームネジをベアリングで支えているため、小型機にもかかわらず搭載質量に余裕があり、強度、精度のある赤道儀がEM-11です。 赤道儀の心臓部ともいえるウオームネジの軸受けに高精度のベアリングを使用して、耐久性と追尾精度の向上を図りました。EM-11には他に、赤経・赤緯軸の軸受けに各軸4個と、全部で12個のベアリングを使用しています。これにより、強度と精度がEM-10よりも向上し、搭載重量は約8.5kgになりました。
スケールパターンは北極星と天の北極との距離角を半径とした3円と方位角を読み取る時間目盛りで構成され、3つの同心円を目安にした歳差の補正も2030年まで対応しています。また南半球用の指標は、八分儀座のσ星を含む3星を使うものになり、より容易にそして精度よくセットできるようになりました。もちろん、モーターも南半球用に簡単に逆転できます。
夕空の彗星を狙う場合、日が暮れる前に組立を完了して北極星が見えるのを待ちますが、極軸を合わせようとしたら方位微動の範囲外だと、三脚ごと持ち上げて回すようになります。そんな不便を解消する為に、三脚架台の上で赤道儀が360度回転するようにしました。(注:メタル脚使用時は、この機構を使えません)
EM-11 Temma2M 赤道儀のコントロールボックスは、駆動ボタンの他にモード切替ダイアル、駆動速度切り替えスイッチ、修正速度設定用ボリューム、オペレーションモードスイッチが付いていますので、これらの駆動系操作を手元の小型コントロールボックス一つで操作できます。ボリュームによる修正速度の調整は、対恒星時の±1〜99%に設定ができるので、オートガイダーの設定がやりやすくなっています。 オペレーションモードスイッチとは、駆動ボタンを押した方向に視野の星が動くように、各駆動ボタンを押した時に赤道儀の反応する方向を切り替える機能です。オートガイダーが普及した現代では、以前ほど重要度は高くないと思いますが、眼視でもボタンを押した方向と反応方向が合わせられるのは操作性の向上になります。
赤緯体に赤経・赤緯駆動用のステッピングモーターを2個とそれぞれの駆動ギア、駆動用電子回路をすべて内蔵しました。赤経・赤緯共にウオームホイルによる全周微動で、手元のコントロールボックスから赤経・赤緯の両軸の高速駆動及びガイド修正の操作できます。