2016年 9月 9日
ミューロン・シリーズの中で、最も軽量コンパクトなミューロン180の生産が終了してから長い年月が経ちましたが、接眼部は50.8アダプターシステム標準対応、鏡面のメッキにHR(高反射)多層膜コートを施すなど装いを新たにミューロン180Cとして登場しました。
ミューロン180Cは惑星・月の撮影と太陽を除く天体の眼視観察を主体に設計した、ドール・カーカム式望遠鏡です。古典的カセグレン望遠鏡は放物面の凹面主鏡と双曲面の凸面副鏡の組み合わせで、設計上は球面収差は皆無ですが双曲面副鏡の研磨が難しく、きちんと組み立て調整するのが大変難しい光学系です。ドール・カーカム式は主鏡となる凹楕円面鏡に凸球面の副鏡を組み合わせて、それぞれから発生する球面収差を全系で補正しています。
ドール・カーカム式の視野中心は球面収差がほぼゼロですが、視界の周辺にいくにつれコマ収差が大きくなります。できるだけコマ収差を小さくするには副鏡の拡大率を小さくすればいいのですが、そうすると鏡筒長が長くなってしまいます。周辺のコマ収差と鏡筒長のバランスから、この比率になりました。
ドール・カーカム式は球面の副鏡を使うことで、研磨、組み立て調整が容易になり、高品質な製品を安定して供給することができます。さらに、弊社のミューロンシリーズは、主鏡と組み合わせる副鏡を検査器に組み込んで、1:1のペアで主鏡を研磨していますから、相性に依るばらつきはほとんどありません。鏡面は一枚一枚丁寧に社内で研磨し、タカハシの研磨技術と独自の検査方法により高い精度に仕上げています。そこに現行のイプシロンやミューロン反射望遠鏡に採用しているHR多層膜コートをミューロン180Cの主・副鏡共に施しました。これにより、初代ミューロン180と比較して反射率が約7%向上し、可視光域の反射率がほぼ一定になりました。
ミューロン180C 仕様
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形式 |
ドール・カーカム式 |
有効口径 |
180mm |
焦点距離 |
2160mm |
口径比 |
1: 12.0 |
鏡筒経 |
210mm |
鏡筒全長 |
625mm |
質量 |
6.2kg (アリミゾ台座含む) |
ファインダー |
6倍30mm(グリップ兼用) |
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